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芳賀繁先生が『事故が無くならない理由(わけ)』(PHP新書)を上梓しました。
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 私が「交通心理学研究」にワイルドのリスクホメオスタシス説を紹介する展望論文を書いたのは1993年でした。ワイルドの説は、日本の交通心理学にはあまりインパクトを与えませんでしたが,自動車工学や交通工学の専門家の一部には重要な問題提起として受けとめられたようでした。  

 その後,自動車の技術開発がアクティブセーフティにシフトするにつれ,再びリスク補償の問題が注目されるようになったので,ワイルドが2001年に改訂した”Target Risk 2″を2007年に『交通事故はなぜなくならないか』(新曜社)というタイトルで翻訳出版しました。この本は,自動車工学者から毀誉褒貶を受け,私はしばしば技術系の学会・研究会に招かれて内容を紹介しました。しかし,私はワイルドの主張に全面的に賛同している訳でもないし,人の考えを受け売りしてもつまらないので,私自身の考えをちゃんとまとめなければと,ずっと思っていました。  

 そして,本書の出版でやっとその願いが叶いました。

 本書は,自動車交通だけでなく,自然災害,喫煙,登山などの例を挙げてリスク補償を説明し,リスク認知やリスクコミュニケーションにも話を広げて,リスクと人間の心理の相互作用について,心理学の知見と私の考えを分かりやすく解説したものです。一般向けの教養書としても,リスク心理学の入門書としても楽しめる一冊だと自負しています。

(芳賀繁)